「前に牧瀬君と二人で迎えに行った時に、静香ちゃんが牧瀬君と一緒にいるのは僕を忘れるためで、その必要はもうなくなったから…って。」



始まりは確かにそうだった。でも……



「牧瀬君、一人で住む家を探してるって言ってたけど、この時期だし、なかなか見つからないみたいだね。」



それだけじゃないと…
感じていたのは、私だけだったって、ことだろうか?



「だからさ、静香ちゃんがこの部屋にくるのはどうかな? 大学からも近いし…。 僕と一緒に暮らさない?」



放心状態のまま答えられないでいると、ゆっくり考えてくれていいと、慶人君は優しく頭を撫でながら言ってくれた。

その後は何事もなかったかのように食事を再会したが、美味しかったはずのお鍋の味は何も感じられなかった。