「晩ごはんはもう食べた?」
「ううん。 いつもバイトが終わってから食べるの。」
「それも一緒に?」
一瞬何のことかわからなかったが、慶人君の視線を辿って、恥ずかしくなる。慶人君はお店から貰ったケーキが入った箱を見ていたのだ。
「なかなかの量だね。」
「こ、これはっ… いつもこんなに貰っているわけじゃないよ!? 一度にこんなに食べているわけでもっ…!」
「大丈夫。 わかってるよ。」
ハハッと声を出して笑う慶人君。本当に今日はたまたまた大きい箱だっただけなのだが、誤解していそうだ。
「晩ごはんがまだなら、一緒にどうかな?」
「あ…でも、ケーキが悪くなっちゃうから……」
「僕の家で。」
慶人君はにっこり笑う。
「お鍋セットが届いたんだよね。 消費期限が明日で、付き合ってくれると助かるんだけど…。」
上目遣いで、お願い!と目で訴えてくる慶人君。その顔を見ているとなんだか断り切れなくて、ご飯だけなら…とおうちへお邪魔することになった。

