慎司君とはあれから、どこかぎこちない日々を送っていた。
今まではなんともなかったのに、ふとした瞬間に目が合うだけで、なんだか少し恥ずかしくなって、お互いゆっくり目を背けたり。ちょっと身体が触れるだけで、大袈裟な反応をしてしまったり。しかも慎司君の方が、今までになく戸惑っているようだった。
会話にもならず、結局好きかどうかを言葉にして聞くことも、それ以上の話もしないまま、ズルズルと今日まできてしまった。
2人とどうなりたいか。
いい加減答えを出さなければいけないのに、2人とちゃんと話もできないまま、迎えてしまったバレンタイン。とりあえずチョコレートは用意したが、当の慎司君は今日は仕事らしくて、渡すのは明日になりそうだ。慶人君だけでも渡そうと連絡をとってみれば……
「お疲れ様、静香ちゃん。」
まさかこんな展開になるなんて。
バイトが終わって外に出ると、宣言通り慶人君は私を待っていた。

