話題に困って、またしーんと静まり返る。一華ちゃんが頑張って、運ばれてくる料理の感想を求めたりして場を和ませようとするが、慶人君が明るく答えても慎司君で会話が終了してしまうので、また場の空気は元に戻るのであった。
「…静香、ちょっと。」
耐えきれなくなったのだろう。げっそりとした顔で、一華ちゃんにお手洗いに誘われた。
「慎司君って何!? ああいうタイプだったの!?」
トイレに着くなり声を荒げる一華ちゃん。
「顔とかめっちゃタイプだったけど、あれは無理! コミュ障過ぎるわ!」
「今日は頑張ってる方だと思うよ…?」
状況が状況だし、と付け加える。
「静香達、いつもどう会話してるの?」
「え? あんな感じだけど…。 それより一華ちゃん、慎司君がタイプだったの?」
私にはそっちの方が衝撃だ。確かに初めて会った時にかっこいいと騒いでいたが、それが本気だとは思っていなかった。
一華ちゃんが、慎司君のことを好き……?
だとしたら私は……
「静香? どうしたの!? 大丈夫だよ! 私が慎司君のこと好きな訳ないじゃん! 無理って言ったでしょう?」
一華ちゃんがぽんぽんと背中を撫でる。
「見た目は確かに好みだけど、私は慶人君みたいに軽口を叩ける相手がいいの。 といっても、慶人君はちょっとなよなよしいから論外だけど。」
だから安心して、と付け加える。
そんなに心配されるような顔をしていたのだろうか…と鏡に映る自分を見つめる。…確かに、酷い顔をしていた。最近寝不足が続いているせいか、化粧では隠しきれないクマが目立った。一華ちゃんがそれを綺麗に隠してくれる。
「あのさ、静香。 私の思ったこと、言っていい?」

