お水を持ってきたウェイターさんが、私達を見て固まった。
「いやこれ、何の集まり?」
夕食を食べる場所として一華ちゃんが提案したのは、高橋君のバイト先だった。
「寄って集って、幼女イジメ?」
「確かにそう見えなくもないけど、言葉を選びなさい!」
一華ちゃんはがダンッとテーブルを叩く。長身の3人に囲まれれば、確かにそう見えなくもない状況である。
キラキラの店内にそぐわぬ、重たい空気。今すぐに逃げ出してしまいたい。
「ねぇ! ちょっと早めにあがらせてもらえないの!? 一緒にご飯食べなさいよ!?」
「いや、普通に無理っす。」
巻き込まれた一華ちゃんが頭を抱えている。誰もこんなことになるとは思ってもいなかったと思う。ただ私の様子を見に来ただけの一華ちゃんは尚更だ。
どうしてこんなことに……。
ちらっと斜め向かいに座る慎司君を見るが、慎司君はずっと視線を下に向けたままだ。対する慶人君は、視線を向ければすぐに気づいて笑い返してくれていたが、それを直視することはできないでいた。
「えーっと、2人って面識あったの?」
一華ちゃんが必死に話題を探す。
「いや、この間少し話をして、それ以来だよ。 名前もさっき聞いたばかりだし… 牧瀬君、でいいんだよね?」
慎司君はこくっと頷いた。
この間とは、遊園地の帰りにばったり会ったことを指すのだろう。あの日は色々ありすぎて、思い出すだけで頭がぐるぐるした。

