「何か気になるものあった?」
「えっ、あ…これかな? プロジェクションマッピングの……」
「いいね。」
優しく掴まれた手を、くいっと引かれる。
「じゃあ二人に言いに行こうか。」
二人に指示された席に乗って、メリーゴーランドはスタートした。結局白馬に乗る慶人君を主役に、横の馬車に一華ちゃんと一緒に乗って、高橋君は馬車をひく馬に乗った。困りながらも二人のノリに少しは応える慶人君と、大爆笑で写真を連写する二人に、やっと心の底から笑えてきた気がした。
次のアトラクションは、映像の水族館だった。手が触れると映像が変化し、魚や泡が生まれたり消えたり…とても不思議なアトラクションだった。
「すっごーい…!」
「静香、写真撮ろう!?」
一華ちゃんと色んな写真を撮って楽しむ。顔を寄せ合い、また一枚写真を撮ろうとした時、画面に映る一華ちゃんが心配そうな顔をした。
「楽しんでる?」
今日はいつにもましてとても元気が良いと思っていたけれど、わざとだったのかもしれない。一華ちゃんの心遣いにようやく気づいて、嬉しくて心がじーんとなった。
「うん!」
心が嬉しいと、楽しいと、考え方も前向きになるというもの。ゆっくり色々なところに触りながらアトラクションを楽しむ。すると、高橋君がすすすと近づいてきた。
「ういっす。」
「高橋君。 どうしたの?」
「いやーそのー…。 なんか不思議だなーと。 牧瀬から聞いてはいたんっすけど… 大学ってデカいじゃないっすか。 だからまさか会えて、こうして遊ぶのって、想像してなくって。」
「私もだよ。 世間って狭いよね。」
慎司君、高橋君も同じ大学だって知ってたんだ…。なんで教えてくれなかったんだろう?他意があるわけではなさそうだけれど…。
「あの、俺、慶人には高校の時に電車でちょっと話してた仲としか言ってないから!」
「う、うん。」
「牧瀬にも、余計なことは言ってないから!」
「う、うん。」
余計なことって… 何を言ったんだろう?
何かは言ってそうだ。
高橋君は一人うんうん唸りながら、何かを考えている。しばらくして意を決したように、私に向き直った。
「それで、慶人から告白されたって、マジですか…!?」
「健く〜ん?」
いつの間にそこにいたのだろう。
すぐそばに来ていた慶人君が私達の間に入ってきて、高橋君を引き離した。
「僕もまだ返事を貰えていないのに、それを先に聞くのは違うでしょ。」
油断も隙もない、とそのまま肩を押されてアトラクションを抜ける。
「け、慶人君ちょっと…!」
「一華ちゃんに許可はとってあるから!」
行こう!と子どもっぽく悪戯に笑う慶人君。
園には西陽が差し、イルミネーションが点灯し始めていた。

