「急いで決めなくてもいいんだよ?」
一応理由を聞いてもいいかな?と、慶人君が優しく笑いかけてくれる。
「高校の時、私…慶人君が好きだった。 でも、今はどうなんだろうって、自分の気持ちがよくわからないの。 ドキドキすることもあるんだけど…。 慶人君と一緒にご飯を食べたりする仲になる間に、私も色々あって… 正直に言うと、慶人君のことを忘れ始めていたくらいなの。」
「それはまた正直だね。」
「ご、ごめんなさい…! でも、だから、あの頃の気持ちに従って返事をするのは違うと思って。」
私は慶人君の顔を真っ直ぐに見る。
思えば私はいつも、今の慶人君ではなくてあの頃の…美しい思い出の中の慶人君を見ていたのではないだろうか。そう意識すれば、目の前の慶人君が高校の時とはかなり違うことに、すぐに気づけたはずだ。こんなにも大人っぽくなってしまったのに。
「今の私は今の慶人君をよく知らないし、慶人君もそれは同じだと思う。 だから、なかったことにしませんか?」
告白そのものを。

