それからのどうなったか、話をしよう。

慎司君は家に着くまでは黙っていたが、帰り着くやいなや通常の慎司君に戻っていた。翌日になっても、翌週になっても、何かを聞いてくることもなく、ただただ淡々と日常が過ぎていった。

そんな中でも、一点だけ変わったことがあった。



「静香ちゃん、おはよう。」



慶人君に会う機会が増えて、慶人君と過ごす時間が増えたことだった。初詣の件が知れ渡っているのか。慶人君の周りの人がかなりの協力をしているようで、生暖かい視線に包まれて大学生活を送るようになったのだ。



「今日も朝から熱心ね〜慶人君。」



いつの間にか一華ちゃんまで慶人君呼びになるほど、仲を深めていた。



「いつまでも煮え切らない静香より、すぐにでも楽しめる綺麗どころは満載だっていうのに。」

「悩んでいるなら可能性があるってことだからね。 それに、再会の仕方とか、凄い運命を感じると思わない?」

「見た目だけじゃなく台詞まで王子様ね。 生憎私は少女漫画は卒業致しましたの。」



昔からの友人と言われてもわからないほどに慶人君をいなす一華ちゃんにびっくりする。



「そういえば、今日の午後一の講義が休講になったって聞いたけど。 お昼一緒にどうかな?」

「なんでそれを…。」



隣で一華ちゃんがにんまりと笑っている。

アナタですか…。

よければ一華ちゃんも、という誘いに一華ちゃんは首を横に振った。



「私、今日提出の課題が終わってないので。」

「一華ちゃん…!」



ピロンと鳴った携帯には、後で報告よろしくとのメッセージがあった。