「じゃあ、予約したらメールしておくね。」
「ありがとう。 後はサプライズの買い物だね。」
「テスト終わったら一緒に行こうよ。」
「うん!」
またねと手を振り、家の中へ入る。むん、と蒸した部屋に風を通すため窓を開け、洗濯物を取り込む。部屋をすっと風が抜けた時、洗濯物を抱えた時、ふわりと香った慎司君の香りにキュッと胸が締め付けられた。
私がどれほどあなたを愛しているか、誰にも分かりはしない。
もし、本当にそうならば…
高校の頃からずっと憐れみではなく恋慕を抱いてくれていたのなら…。
「……慎司君に、会いたいなぁ。」
高校時代の慎司君にも、会いたい。私を花江さんと呼んでいた慎司君に。
会って、あの頃どう思っていたのか聞いてみたい。
会えば勉強の話か、私の恋の悩みを聞いてくれていた慎司君。あの時彼は、どんな顔をしていたのだろう。どんな気持ちでいたのだろう。
もしも私が慎司君の立場だったら、私はきっと、慎司君のようには振る舞えないから、慎司君の気持ちを凄く知りたい。
そしてまた、きっと、あの頃も含めて、慎司君をもっと、好きになるんだろう。
できるなら甘やかし返したいなんて…
慎司君に言ったら、どんな反応をするだろうか。
『花江さん。』
その日見た夢には、懐かしい高校時代の慎司君の姿があった。
今より短く坊主に近い髪型で、学ランが似合って、いつも大きな野球鞄を持っていた慎司君。あの頃は気づかなかったけど、私に気づいて駆け寄ってくる時の顔は、私に会えたことを喜ぶ嬉しさを隠しきれていなかったと思う。
『今日も、よろしく。』
そう言って隣に座って、教科書を広げて好きでもない勉強の話を始める彼は、きっと私との話題を一生懸命探してくれていたのだろう。そう思うと、私はまた、さらに慎司君を好きになるのだった。

