イーリャ君は首元をちょんちょんと指す。
「シズカのそれ、シンジからのプレゼントって聞いた。」
「これ?」
私は花のネックレスを取り出す。それは、慎司君がくれたものだった。イーリャ君はYES!と繰り返し嬉しそうに叫び、一華ちゃんの耳元でごにょごにょと何か言っている。それを聞いた一華ちゃんは目を見開き、きゃー!と両手で口を覆った。
「静香、それ何の花か知ってる!?」
「え? えーっと…ミモザ?」
「花言葉、調べたことある!?」
「ないけど…。」
素早くそれを検索した慶人君が、肩をすくめながら、呆れたように溜め息をついた。
「仮に牧瀬君が知っててそれをプレゼントしたなら、ロマンチストというか…なんというか。」
検索画面を見せてもらう。そこには“秘密の恋”と書いてあった。
秘密……?
「……私がどれほどあなたを愛しているか、誰にも分かりはしない。」
一華ちゃんがいつになく真剣に言った言葉に、ドキリとする。
そんな意味があるんでしょう?と確認する一華ちゃんに、イーリャ君は何度も頷いた。愛されてるネ!と自分のことのように喜んでくれる二人。
いつから……
いつから慎司君は……?
「静香ちゃん?」
黙ったままの私を心配そうに見つめる慶人君。
私は思い返していた。実は、この花をプレゼントされたのはこのネックレスだけではない。高校を卒業したあの日も、私はこの花を貰っている。春には切り花を買ってきてくれる時もあった。
私が好きそうな花をくれたのだと思っていたのに、違ったのかもしれない……?
『かなり待った』
初デートの日のあの台詞は、本当に……??

