「昨日、慎司君休みだったでしょう?」

「へっ?」



慎司君ときちんと付き合い初めて早数カ月。季節は夏を迎えていた。夏休みを目前に控えた今はテスト期間中だが、テスト勉強と平行して、一華ちゃん達と旅行を企画していた。一華ちゃん、高橋君、慶人君、それから慎司君も一緒の5人旅だ。

慶人君と観光ルートを洗っているところを、任せきりにして眺めていた一華ちゃんが、にんまりと笑った。




「休みだったけど…どうしてそう思ったの?」

「静香の肌艶がいいから。」



そんなまさかと両手で頬を隠す。



「別に、いつもと変わらないよ…!」



そうかな〜とニヤニヤしている一華ちゃんは、慎司君がお休みの時は一緒に眠るようになったことを知っている。知っていて、からかってきているのだ。



「でも、シズカ、キレイになった!」



折角終わろうとしていた話を、片言の日本語が蒸し返す。



「イーリャ君…!」



彼は短期留学に来てしばらくなる、私や一華ちゃんが面倒を見ることになった人だ。