「何見てるんだ?」
いつの間にかお風呂から出てきていた慎司君が、手元を覗き込んできた。
「ひゃっ!?」
幸せだった水族館デートから帰宅して、ふと先日の会話を思い出した私は、一華ちゃんが送ってくれていた少女漫画を携帯で読んでいた。慎司君がお風呂に行っている間、ちょっとだけ…と思って読み始めたのだが、いつの間にか夢中になっていたようだ。
「漫画?」
ゴトンと落とした携帯を拾った慎司君は、画面をじーっと見る。ちょうど今見ていた場面は…と思い返して、慌てて携帯を奪い取った。
「なんでもありません!!」
ちょうどヒロインが男の子に迫られて、ときめいているシーンだった。よくあるシーンといえばシーンなのだが、相手の男の子の感じが、ちょっとだけ…慎司君に似ているのだ。
慎司君も隣に座る。いつもと違い身体をぴったりとくっつけて座った慎司君も、自分の携帯を取り出して何かを見始めた。何を見ているんだろうと思い覗き込むと、なんと先程まで私が見ていた漫画ではないか。
「な、なんでそれ…!?」
見せまいと手を伸ばすが、慎司君に腕を上げられてしまえば届くはずがない。
は、恥ずかしい……!
慎司君が真剣に読み進めている事実がまた恥ずかしい。
「…静香は、こういうのが好き?」
読み終えた慎司君の感想に、恥ずかしい気持ちでいっぱいのまま頷いた。もう見られてしまったのだ。隠すには遅すぎる。ならばもう、開き直ってしまうしかないのではないか。
「好きです…。」
慎司君はじゃあ…と手を握る。
「………してみる?」

