「でも、慎司君は違うの。 いつも傍で、ずっと私のことを見てくれてた。 慎司君となら、私がプリンセスになれるの。」
プリンセスだなんて、自分で言ってて恥ずかしいけれどと笑ってみせるが、例えるならコレが一番分かりやすいと思った。
慶人君と付き合っても、きっとプリンセスになれるだろう。慶人君の気持ちを疑っているわけでもない。しかし、慶人君のことを思う私は、いつまでも王子様を見ているだけの…王子様とは結ばれることのない読者のような気がするのだ。
だから私は、慎司君と付き合っていても、慶人君にドキドキしたり、キュンとしたりするだろう。けれどもそれはあくまでも、少女漫画や物語の王子様にときめくのと同じ感覚なの。
「慶人君の隣に他の誰かがいても、私はしょうがないって思っちゃう。 でも、慎司君はって考えると、駄目だったの。 だから…」
私は一度深く息を吸って、吐いた。
慶人君のことが大好きで大好きで仕方がなかった高校生の自分へ。大切な思い出へ。私は今、ちゃんと別れを告げるのだ。
「私は慶人君とは付き合えません。」
慶人君を好きだったことは、追いかけていたことは、私の大切な大切な思い出だ。

