心が落ち着いてくると、タオルの間から、こちらを心配しながらも何だか嬉しそうな慎司君がいることに気づく。こちらは恥ずかしい思いをして、けれども一生懸命想いを伝えているというのに…。
背伸びをして手を伸ばし、やや口角が上がっている方の頬を、むにりと摘んだ。
「…何で、ちょっと嬉しそうなの。」
慎司君の、少し落ち着きを取り戻していた顔が、再び少し赤く染まる。
「どうして何も言ってくれないの?」
「ちょっと…。」
どうしたらいいか…と口元を覆う、顔が真っ赤な慎司君。
「返事が聞きたいのですが。」
慎司君は泳がせていた目を、そろそろと私の方に向けて。私も顔にあてていたタオルを下ろした。そして、改めて見つめ合う。
慎司君の黒い瞳が揺れている。そこに映る私の瞳も揺れていた。
慎司君はふう…と息をついてしばし床を見つめ、意を決したように顔を上げた。
「…ナツキのことは、本当にいいのか?」
私はこくんと頷く。
「本当に…?」
「くどいよ、慎司君。」
大事なことだからと、慎司君は私の手をとった。慎司君の指が、すりすりと私の指を撫でる。
「今なら、まだ間に合うから。 でも、そうじゃなければ…手放してやれない。」
ぎゅっと握る手に力が込められる。あまりに真剣に、真っ直ぐな目をこちらに向けて言うものだから、心拍数が一気に跳ね上がった。
慎司君はこんな時でも、私の気持ちを考えてくれるんだね…。
「好きだよ、慎司君。」
指を絡め、手を握り返す。
「慎司君のこと、ちゃんと好き。 ずっと好きだったのに、気づくのも言うのも、遅くなってごめんなさい。 慎司君が許してくれるなら、これからもずっと、一緒にいさせてくれると嬉しいんだけれど…。」
慎司君が覆いかぶさるように、私を抱きしめる。その背に手を回して、身体を預けた。
「私、慎司君の彼女に、まだなれる?」
顔は見えないけれど、慎司君が頷いているのがわかった。
「彼女に、なってください。」
「うんっ…!」
今度こそはちゃんと。

