私だって、場を整えて、心落ち着かせて、色々と完璧な状態で、好きだと伝えたかった。けれど、慎司君が知らない女の人と遊ぶ約束なんてしてると聞いたら、悠長なことを言ってられないと思ったのに。
慎司君が他の誰かと付き合うなんて、我慢ならないと思ったからなのに。
「本当はちゃんと、こんな勢いじゃなくて、私だってちゃんと言いたかったけど…!」
じわっと滲む涙を拭いながら、慎司君を叩く。
「慎司君がー…!」
「ご、ごめん…! 信じられなくてっ…。 情じゃ…」
「情じゃない!」
信じてもらえないのも仕方がないとは思いながらも、信じてもらえないことに悲しくて、涙が止まらない。そんな私を前に慎司君はおろおろしている。
「慎司君、私、本当にっ……!」
「わかったから…。」
泣き止んでほしいと、慎司君が前屈みになって、顔を覗き込みながら、涙を拭う。
手で間に合わないならティッシュで。それでも間に合わないならタオルで。家中からかき集めてきて、必死になっている慎司君を見ると、少しだけ心も落ち着いてきた。

