「嶋さんと、今日は他にもいたけれど…。」
慎司君が、女の人とお出かけ……?
女性の友人はいないと踏んでいただけに、かなり、かなり、衝撃的だ。
今日は他にもいた?今日はってことは、別の日は違うってこと?
慎司君は嶋さんと、お休みの日に何度も出かけられちゃう関係ってこと?
それは、彼氏彼女という関係なのだろうか。付き合っているのか聞けばわかることだが、返事が怖くて聞くことができない。ただの友人だと言われても、ショックを受けそうだった。
慎司君が、他の誰かと並び立つ姿なんて、想像するだけで嫌になる。
「…っごめん。 変なこと聞いた。 私、もうお腹いっぱい。」
あとで片付けるからと、寝室に逃げる。
泣いてしまいそうだったのだ。そんな資格はないのに。でも、醜い顔を見られるわけにはいかなかった。
慎司君に好きな人ができる。慎司君が別の誰かと付き合う。おかしな話ではない。だって私達は、ちゃんと付き合っていない…いわばルームシェアをしているだけだから。あり得る話なのに、こんなにショックを受けるなんて、どれだけ自惚れていたのだろう。
色々言い訳を並べていたけれど、好きだと伝えられる瞬間が一瞬たりともなかったわけではない。時間ならあったはずだ。それなのに伝えなかった私が、この状況を作っているのだ。悪いのは、私なのだ。
「静香。」
元は自分の部屋なのに、律儀にノックしてくれる慎司君。
「開けていいか? 話しがあるんだ。」
どんな話しだろう…。
嶋さんと付き合っていると聞かされるのか。嶋さんへの想いを聞かされるのか。それとも態度が悪い私を諌めるものか。
「…私も、話したいことがあるの。」
話を聞くのは怖かったが、私は恐る恐る扉を開けた。

