その日はどう過ごそうかと、色々考えていた。その日のどこかで、ちゃんと慎司君に好きだと伝えられたらと思っていた。勝手に楽しみにしていた。
そう。勝手に、楽しみにしていただけなのだ。だから、ショックを受けるのはおこがましいというもの。慎司君と約束をしていたわけではないのだから…。
でも、心の中で当然のように一緒に過ごすものと考えていた自分が、とても恥ずかしい。
「静香?」
何か予定があったかと確認する慎司君に首を横に振る。
どうしよう…。
慎司君は何も悪くないのに、泣いてしまいそうだ。
ぐっと下唇を噛んで涙をこらえ、笑顔に切り替えて顔を上げる。
「いいと思うよ! バッティングセンター!」
別にちゃんとお付き合いをしているわけではないのだから、慎司君のお休みの日の行動を制限するわけにはいかない。
こういう時、悔やまれる。ちゃんと好きだって、伝えていればと。
食事を再開した時、慎司君の携帯が鳴った。電話に出るよう促すと、立ち上がり、部屋を出ていく。薄っすらと野球の話をしているのが聞こえた。バッティングセンターに行く返事をしているのだろうか…。
悪いと思いつつ聞き耳を立てていると、ある人の名前が聞こえてきて、心臓が大きく飛び跳ねた。
「………慎司君。」
戻ってきた慎司君の顔を、見ることができない。
「野球、嶋さんと一緒に行ってたの…?」
嶋加奈子さん。慎司君と同じ職場の人。…いや、それだけじゃない。具合の悪い時に、色々と持ってきてくれた女性。家の前まで、来たことがある女性。

