恋は揺らめぎの間に




「慎司君!!」



バイトを終えて外へ出ると、慎司君が待っていた。



「どうして!? 今日は野球じゃなかったの?」



嬉しくて、思わずその腕に飛びつく。野球に行った日はそのまま夜ご飯を食べてくることが多いので、今日もそうだと思っていたのに。
顔を覗き込むと、慎司君はふいっと目を反らす。



「観戦に行っただけだから。」

「そうなの?」



なんにせよ嬉しい。

最近やたら休日は野球に行くものだから、正直寂しかったのだ。非番の日は家にいるものの、何かあれば呼び出されてしまうし、疲れて寝ていることが多いから、遊びにも誘いづらかった。



「じゃあ、今日誕生日のやり直ししよう!」



慎司君は嬉しそうに、柔らかく微笑んだ。


ご飯はあり合わせ。ケーキもない。プレゼントも前に渡してしまったからそれもないけれど、途中、お花屋さんで買った花をテーブルに飾った。

二十歳のお祝いだもの。ちゃんとお祝いしたかった。

ご飯を食べながら色んな話をする。野球に行った日の慎司君はいつもより饒舌だ。話に出てくるプロ野球選手のことはよく知らないけれど、慎司君の話を聞くのは楽しかった。



「今度、バッティングセンター行く約束もした。」

「よかったね。」



職場に同じ趣味の人が多くて、慎司君は嬉しそうだ。

でも、私は少し寂しい。慎司君のお休みは平日が多い。すると私は大学があるのである。1日一緒に過ごしたのは、春休み以降ない。



「日曜に行こうかって話してる。」

「えっ?」



ご飯を食べる手が止まる。



「日曜…?」



その日はGW前最後、久しぶりに二人のお休みが重なる日だった。