恋は揺らめぎの間に




慎司君に会いたい。会ってゆっくり、ちゃんと顔を見て話したい。けれど、なかなかそうもいかない生活が続いている。

今年度は朝一から講義が始まる日が多い。そのため、慎司君の帰宅時間が私の出発時間と重なってしまっていた。加えて放課後にバイトが入っているとなると、慎司君がお休みの日にならないと、ちゃんと会って話ができないのだ。

挨拶だけで精一杯だなんて…。

もともと連絡不精の慎司君から電話やメッセージが送られてくるはずもなく、やりとりはお弁当箱に忍ばせたメッセージという古典的なもののみ。



「それで最近お弁当なんだ。」

「そうなの…。」



ずーんと沈む私の背中をぽんぽんと優しく叩いてくれる一華ちゃん。



「せっかく……」



せっかく、好きだと気づいたのに。

いつの間にか桜は葉桜に変わり、構内の学生の服装も薄着が増えてきていた。



「聞いてくれる…?」

「うん?」

「慎司君の誕生日も、緊急の呼び出しで潰れたの…。」

「ありゃりゃ。」



いい機会だと思った。その日はちゃんとお祝いしようとバイトも休みにして、ケーキもプレゼントも用意して。それなのに、大学から帰ってきたら家はもぬけの殻。携帯には呼び出しがあったとメッセージが入っていたのだ。
帰ってくるまで待ってようと思ったけれど、慎司君が帰ってきたのは夜中で。私もいつの間にか眠ってしまっていた。



「今日も今日とて、最近お休みの日は野球に行っちゃうし…。 バイトのお迎えは来てくれるけど、なんか、そうじゃなくて…。」



そんな帰りながらとか、バタバタ明日に備えて寝る準備をしながらとか、そんなタイミングで大事な話はできない。

もっと大切に、ちゃんと伝えたいのに。
なぜこうなってしまうのか。