「結局さ、今どうなってるの?」
桜の花びら散る中で食べるお弁当は格別だ。…たとえ寒くて冷たい風が吹いていようと。
ぶるっと身体を震わせて、やはり外は少し早かったかと後悔する。植物園の花たちも、まだまだ花盛りとは言い難く、一華ちゃんに謝る。でも、ここなら慶人君に見つからないような気がしたのだ。
「私からはなんとも…言い難い。」
「どちらとも進展なし?」
「んー…。」
むしろ悪化、と小さな声でつけ加える。
「前も電話で話したけどさ、慶人君を振ったってことは、イコール慎司君と付き合うってことにはならないの?」
「だって、付き合うって、お互い好きってことでしょう…?」
「一般的にはね。」
「だったら、好き…とか………」
慎司君が私のことを好きとか、私が慎司君を好きとか…
慎司君が私に、私が慎司君に好きって言うとか…!
「どうしたの静香。 顔真っ赤よ。」
「うう…!」
好きと口に出すだけで、考えるだけで、めちゃくちゃ恥ずかしい。
慎司君が好きな、甘めの卵焼きを頬張る。それを噛み砕いていくと、気持ちも少し落ち着いてきた。
ひらひらと、風に舞う桜の花びら。
あっちへこっちへ、風に吹かれるままになっているそれが、妙に目につく。
「私、色々考えて… 慎司君のこと、好きだと思うの。」
「おおっ! 遂に自覚したの!?」
面白そうに目を輝かせる一華ちゃんをじろりと睨む。一華ちゃんは舌をぺろりと出してごめんと言うと、続けてとジェスチャーで言った。
「慎司君のことが好きだと思うんだけど、でも、慶人君のことも、まだ好きだと思うの。 だって、今もまだ、ドキドキしちゃうし…。 だからこんな状態で慎司君を好きだなんて言うのは、早いというか、おかしいというか… 付き合うなんてそんなって思うの。」
今更という思いも、虫が良すぎるという思いもある。
それに、慎司君が今私を、どう思ってくれているのかもわからない。一緒にいてくれるとは言ってくれたけど、それは好きだからだろうか。情が湧いたからだろうか。
「慎司君、きっと、こんな私に、もう、嫌気が差してるんじゃないかな…。」
お互い好きだとか、自信がない。
慎司君が私のことを好きだという自信は、もっとない。

