今日はホワイトデー。バレンタインほどの盛り上がりはないが、それなりに忙しい1日だった。ケーキや告白はもちろん、プロポーズのサプライズまで、おアツいカップルの対応に追われていたのだ。
「おつかれーい。」
ロッカールームと隣接する休憩室には、大体パソコンとにらめっこする店長が居座っている。俺が足を踏み入れると、ちょいちょいと手招きされた。
「高橋は今日もうあがりだろ? ホワイトデーってやつだ。」
店長がくれたのは、なかなかいいお菓子だった。
「うお! あざっす!!」
「いーのいーの。今日バイト入ってくれたお礼ってもんよ。 高橋は夜、彼女とデートとかないの?」
「それが彼女、いないんっすよね。」
「おいおい…大学生だろ? 遊ばないでどーするよ。 バレンタイン、貰わなかったの?」
「……あ!」
そういえば、花江さんから貰ったな…。
「店長、お店のお菓子、帰りに買わせてください!」
お菓子片手に帰路につく。花江さんに連絡しようとその日初めて携帯を見ると、新着履歴にちょうど花江さん絡みの人物達からのメッセージが並んでいた。
「うわ…。」
慶人に牧瀬…。きっと花江さん絡みだろうと踏んで、まずは慶人のメッセージから開いた。