「あの…慎司君。 あんまり見られると、私……」
集中できないのですが、と横目にちらりと慎司君を見る。早く寝るよう促すのだが、先程からちらちらとこちらばかり見てくるのだ。
「気になって眠れないならやっぱり…」
パソコンをカタカタと叩く音が煩わしいだろうと、私が向こうの部屋への移動を告げるより先に、慎司君の手が伸びてきた。ぎゅっと服の裾を掴まれる。
「慎司君?」
「っごめん。」
自分でも驚いたような顔をして、パッと手を離す慎司君。その行為に、妙に傷ついた私がいた。
課題を続ける気持ちも小さくなって、私はパソコンを閉じる。それを見た慎司君は、自分のせいだと申し訳なさそうに、また謝ってきた。
「本当、ごめん…。 俺、変で…。」
顔を腕で隠しながら言うものだから、肝心の表情は見えなくて。
何が、どう変なのか。聞きたくて聞けずに、二人して沈黙が続いた。でも、何故だろう。その腕が下ろされた際に合ってしまった目を、反らすことができなかった。

