好きを教えて、生意気なきみ

ベッドから飛び降りた。



って、スッピン恥ずかしいな…。



あたしは持ってきていた深めの帽子をかぶって部屋の外に出た。



部屋の外では、渚がしゃがんで待ってた。



「お」



渚があたしの方を見る。



「なんだよその帽子」

「べつに…?」

「まあいいや、行くぞ」



渚と手をつないでロッジから出た。



外はめちゃくちゃ寒い。



吐く息が真っ白だ。



渚が無言で自分が着ていた上着を貸してくれる。



「渚さむいでしょ」

「俺は平気」



絶対寒いのに…。



鼻が赤いよ…。



渚の手を握ったまま、上着のポケットに手を入れた。



「こっちの手も出して」



渚のもう片方の手も上着のポケットに突っ込んだ。



「あったかいでしょー」

「ん、ありがと」



渚がそう言って、あたしに一瞬軽いキスをした。



ちょっと照れ…。



渚は男子部屋でゲームをしてたらしい。



「弥玖に勝ちたかったのに負けた…」

「あはは。そんな弥玖と張り合わなくてもいいのに」

「負けたくねえじゃん?」



そういうものなのか…。



あたしの中ではもう弥玖のことなんてただの従兄のお兄ちゃんなのにね?



「陽鞠」



渚があたしのことを見つめる。



「なあに?」

「サンタから預かってきたものがあるんだよな~」



そう言って渚がズボンのポケットから小さい細長い箱を出した。