好きを教えて、生意気なきみ

「先輩、渚くんと付き合ってるんですよね?」

「そうだけど…」

「別れてくださいよ。他に男いるから大丈夫でしょ」

「はい…?」



何を言われてるのか分からないあたし。



さっきの尚先輩のこと!?



「別れないけど…」



あたしがそう言ったら、その子の顔色が変わった。



「なんで先輩なんですか!? 渚くん返してください!」

「はあ…?」



渚は物じゃないんだけど!?



返してってなに?



「っていうか渚が選んだのがあたしなんだけど」

「調子乗んなよ!」



その子があたしのことを叩こうとしてくる。



咄嗟によけるあたし。



何この子、怖い!



「よけんじゃねえよ!」



そう言って、別の子があたしのことをドンッと押した。



転ぶあたし。



それから、ボスみたいな子が近くにあるモップを手にした。



やめてよ!!



その子は、そのモップの毛の部分をあたしが着てるジャージに押し付けてくる。



渚のジャージ汚さないでよ!



めっちゃムカついた!!



あたしは押し付けられるモップを掴んで立ち上がった。



よろめくその子。



あたしは近くにある水の入ったバケツを持って3人にそれをぶっかけた。



「何すんだよ!」

「こっちのセリフだよ!! そっちが先にしてきたんだからね!」



そのとき、トイレに向かって走ってくる足音が聞こえた。



それからその足音の主がトイレに入ってくる。



「大丈夫か!?」



それは、渚だった。



焦った顔の渚は、トイレの惨状を見て「えーっと…?」と困惑した表情に変わる。



アハハ…。



渚になんて説明しよう!?



暴力的な女って思われたくないんだけど…!?