好きを教えて、生意気なきみ

「じゃあね」



そう言って渚と昇降口のところで別れようとした。



そしたら、なぜか渚があたしの腕をぐいと引っ張った。



「別にわざわざ別れなくてもどうせ駅まで一緒だろ?」



たしかに…。



そういうわけで、渚と一緒に駅まで向かった。



「渚は最寄り駅どこなの?」

「俺は緑が丘」



ってことは結構あたしとギリギリまで一緒なんだ。



若干気まずいな~…。



と思ってちらっと渚を見たら「ん?」とこっちを見た。



慌てて目をそらす。



渚が口を開いた。



「さっきの本、結構よかった」

「ほんと!?」



嬉しくて、思わずそらした目を渚に戻した。



渚はそんなあたしを見て苦笑。



「お前って結構分かりやすいよな」

「なにが!?」

「今気まずいって思ってただろ」



ば、バレてる…。



「ま、まさか~」

「ハハッ、バレバレだって」



そう言って渚が笑った。



やっぱ笑った顔、めちゃくちゃかっこいいな~…。



目元にあるほくろもチャーミングだし。



なんて渚の顔をまじまじと見てたら「なんだよ」と言われてしまった。



「なんでもない!」

「人の顔じろじろ見やがって」



そう言ってほっぺをつねられた。



「痛い~…」



先輩に向かってなんて態度なの!



顔が良くても失礼すぎるよ!



でも、気まずいの察して本の話振ってくれたのかな…。



ちょっとはいい奴…?



なんて考察していたら、電車ががたっと大きく揺れた。



あたしがバランスを崩す。



そのとき、あたしの手首をがしっと渚が握った。