溺愛悪役令嬢は、転生者チートを満喫中

 目を細くし、ゆっくりと指先から手のひらから全てを検め、『証拠』を見つける。
 ピンセットを用意するように、近くの侍女に言いつけ待っている間に、他の仕事を済ませることにした。

「あなた。お名前は?」

 少し後ろに控える医師に、名前を問う。

「ダ、ダフニス・ヘラインにございます」
「そう。ヘラインね」

 聞き覚えのない名前だ。
 医師自体は貴族じゃなくてもなれるが、王族を診る医師に関しては、貴族出身と決められている。

「あなたはどちらの家門?」
「妻がヒメラ子爵家でして……はい……私はその……他国の……」
「なんですって?!」

 レテシア殿下が声を上げる。
 それも当然だ。

 本人が貴族出身ではないことに加え、まさかの他国の人間が、倒れた第一王子を診ている。
 これが問題にならないわけがない。

「おっと。逃げられると思うなよ」

 ウェスタ兄さまが、逃げようとしたダフニスの首もとに手刀を落とす。
 すぐに彼は体をぐらりと倒した。

 近くにいた近衛兵に縄を盛ってこさせると、ウェスタ兄さまが、縛り上げ、その端を手にする。
 今ここで、近衛兵を信用して良いかも、わからなくなっているのだ。

「すぐに、この者を雇ったのが誰か確認なさい」