溺愛悪役令嬢は、転生者チートを満喫中

 私の言葉に、デリーが頷いた。

「それでイリスが僕を見たのか。その辺に関しては、僕は生憎詳細はわからないけど、国王の意図は易々とわかるよね」

 その通りだ。国王は国防はもちろんだが、反乱に備えても、完全ではない地図を用意しているのだ。
 国防だけであれば、本来の地図を内々に頒布しても良いはずなのに、それをしていないことが理由。

「今回、これで本当のこの国の形が見えてきたのは大きい。ユピテルにもこれを複製して送るように」

 ユピテルとはお父さまの名前。メル兄さまが見れば、良いように使うだろう。

「それで、イリスはどうしてこんなものを調べようと思ったんだ?」
「ウェスタの言うとおりだ。我が家にはとても良いものではあるが……」

 ウェスタ兄さまとお爺さまの疑問ももっともだ。
 私はもう一度、ちらりとデリーを見てから指を二本だした。

「理由は二つです」

 そうして、もう片方の人差し指で、二本のうちの片方に触れる。

「一つは、我が領地の気候をもう一度きちんと把握したかったんです」

 この世界は、あまり気候や天候についての研究が進んでいない。
 前世日本人からしてみると、それはあり得ない。天災大国日本だったのだから。

 まぁ台風なり大雪なり線状降水帯なりとまではいかずとも、その土地特有の気候について、星の状態がみたいな天文学ではない視点で考えないといけないだろう。詳しいことは私一人では分からないと思うけど。

「そうすることで、我が領地の農業をもっと安定させることができるのではないかと、考えています」