青筋を立てて不良は真凛に襲いかかった。

――まともに受けたら、やられる。

まわし蹴りをリーチの外まで下がってかわし、誰にも何にも二次被害を加えない場所へ移動しながら、体力を消耗しないように最小限の動きでかわし続けていると、相手がキレた。

「(それっぽい怒り狂うセリフ)」

――かわしきれない!

比較的軽そうなものに絞って受けるしかないか、と覚悟を決めたところで、横から何者かが間に入り、真凛をかばった。

「俺のおん……クラスメイトに手ぇ出してんじゃねえ」

東野裕だった。