そう言って、せいいっぱいの笑顔と感謝を贈る。
「別に」
大したことじゃないから、とでも言いたげな反応だ。
いいえ、大したことです。
救世主の名前くらいは知りたくて、口を開く。
「えっと、お名前を教えていただいても?」
「……ひがしのゆう。東、野原の野、余裕の裕」
「東野、裕さん。これからよろしくお願いします」
改めて微笑むと、東野さんはわたしからふいっと視線をそらした。
ん、もしかして目を合わせてるの嫌だった感じ?ごめんなさいね。
……わたしも前を向いたほうがいいかな。
眼福だから、もうちょっと東野さんを眺めていたいんだけど。
そんなことを思っていると、東野さんはわたしに視線を戻した。
「よろしく。にしても……ウワサの女編入生が、まさかこんな奴だとはな」
そう言ってニヤっとまた反則級の笑顔を見せる。
あまりにも顔面が強い。直視し続けられない。



