派手髪ばかりだから、かえって黒髪は目立っていた。
とはいえ制服はちゃんと着崩している?ので、浮いている感じはない。
「よろしくお願いします」
わたしが挨拶してから席に着くと。
「よろしく」
黒髪さんのきれいな唇が動くと同時に、ざわめきの中から、かすかに挨拶が聞こえた。
すごっ、イケボだ。
言葉の代わりにニコリと愛想笑いすれば、彼はニヤっと笑った。
優等生とは対極にあるような、不敵な感じの笑み。
顔の造形の美しさや眼光の強さと相まって、すごく迫力があって格好良かった。
……不良と恋する話がたくさん世に出回っている理由、わかった気がする。
だって格好良いもん。恋したくもなる、しょうがない。



