気まぐれヤンキーくんのあまのじゃくな溺愛。

うぅん…。授業は確かに大事だけど今は亮くんの方が大事!
よし、行ってみよう…!先生、ごめんなさい!

遅れて行くことを前提になったのにも関わらず、廊下を駆け走る。
居るとは限らないけど、そっちに居てもおかしくない気がする。
だって3年生のいる屋上階段は、凄く日当たりがいいんだ。

「はぁはぁ つ、着いた」

息を整えて、5階まで登っていくとある屋上まで急ぐ。
こっちの屋上は南側にあるから今なら丁度日当たりがいい。
階段を登って行くと、屋上扉の前にいる人影が薄らと目に入った。

寝癖が直っていない束ねた黄色い髪と鎖骨がくっきり見える乱れた制服姿で眠っている亮君がいた。
あそこで寝てるの亮君だよね……?
相変わらずマイペース。
読みは当たったけど、どうしてこんなところで…?
いつも眠いからって昼休みには午後の授業をサボって早退してるはずなのに。

─── 亮君の過去や、あの時の亮君の気持ちを知ったからって、亮君の今の気持ちは分からない。
それを悲しく思っちゃうなんて、私どうしちゃったんだろう…。

…ハッ。い、今はそういう場合じゃない!いくら授業遅れるからって、ここでじっとしてるんじゃなかった!

亮君には申し訳ないけど1度起きて貰おう、
と思って「亮君」と呼びながら右肩を摩るように起こそうとした時。

「兄…貴」

亮くんのか細い声が耳に入った。
今の…寝言?

「俺のせいで…っ」

…っもしかして、昔のことが夢に出て来てるの……?

「亮君…っ」

きっと苦しくて悲しい夢を彼は見てる。
それをどうしようも出来ない自分が嫌になる。