そして手を繋いで歩き出したはいいものの、
一つ問題が…
「すみません、〇〇芸能事務所のものですけど、芸能界に興味ありませんか?」
「あのモデル募集してるんですけど、ぜひやってもらえませんか?」
いろんなスカウトの人がひっきりなしに声をかけてくる。
やっぱ颯太くん、すごいなあ。
こんな人数から声かけられるなんて。
たしかに、断ってるのがもったいないビジュアルではあるけど。
「ちょっとお店入ろっか?」
「そうだね!」
そして近くにあったカフェに急遽避難した。
ふう、やっと一息ついた。
「颯太くんすごいね、いつもあんなにスカウトされるの?」
「いや、いつもはこんなに声かけられないんだけど。てゆうか、声かけられてるのミナちゃんもでしょ?」
「えー私じゃないよ。颯太くんだって。」
「無自覚もここまできたら…(ボソ」
「ん?なんか言った?」
颯太くんがなんか言った気がしたけど
聞き取れなかった。
「なんでもないよ。てゆうか、ごめんね?せっかくの東京観光だったのに、こんなことになっちゃって。」
「全然大丈夫!大体は見れたし、実は私もあんまり人混み得意じゃなくて、休みたかったから」
「ほんと?ならよかった」
いつもの爽やか笑顔でにこ、と笑う。
気にしてくれてたのかな。
ほんとに優しい。
「今度はさ、人が少ないところにしよっか」
今度があることに胸が高鳴る。
「うん!」私は満面の笑みで頷いた。
ほんとに、東京に出てきて玲央に会ってなきゃ
こんな楽しい思いしてないんだろうな。
「私さ、颯太くんに会えてよかった」
無意識に行ったその言葉に颯太くんは驚いたような顔をして、目を逸らした。
「それは、ずるくない?」
「え?」
颯太くんは少し顔を赤らめて手で口を隠しながら言う。
「不意打ちは悪いよ、ミナちゃん」
「な、なにが?」
「可愛すぎ」
颯太くん、照れてるの
初めて見た。
…なんか、かわいい。
「俺もミナちゃんに会えてよかった。」
確かに、そう真っ直ぐ言われたら照れちゃうかも…
そんなこと私普通に言っちゃったんだ、
今さらながらに恥ずかしい…
私が顔を手で隠すと、「えーミナちゃんも照れちゃうの?」と颯太くんは笑う。
それに私も笑って。
「知ってる?俺、普段こんなに照れたりしないんだよ」
そしてずっとドキドキしてる。
「ミナちゃんの前だけ」
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