【番外編】冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

邪魔したらいけないなと思い遠回りして帰ろうとした、そのとき。


「あれ、賢人?」


ふい冴妃が振り返り、俺の名前を呼んだ。


「今帰りですか?」

「ああ・・・」


豹牙さんも冴妃と同じように肩越しに俺を見やる。


「どうした」


ごく自然に紡がれた言葉には一緒に帰らないのか、という意味も含まれていた。

邪魔だとか冴妃とふたりでいたかったとか、そんな感情は微塵も抱いていない。


このふたりはいつもそうだ。

せっかくふたりきりでいるのに、俺ら幹部の誰かが来れば話の輪に入らないかと誘ってくる。

そしてそれを当たり前のことだと思っている。

それだけ俺らのことも大切にしているんだ。


「・・・帰ります」


そう答えるとふたりとも満足したように俺を真ん中に迎え3人で道路脇を歩き始めた。