「そんなのいくらでも待つから好きなだけ頼め。俺はお前が遠慮して腹空かせてる方が気分が悪い」
スイスイと画面をスライドさせた後、手を止めてとある画像を私に見せた。
「このポテトとかちょうどいいんじゃないか。中盛りだし、入らなかったら俺が食うし」
「あ、でしたらそれで」と返答するより先に、専用のタブレットで注文していた。
私が拒否したらどうするつもりだったんだ。──あ、ご自身で食べるのか。
そこまで考えたところで、はたと気づく。
自身の考えが間違っていることに。
・・・・・・最初から豹牙さんは分かってたんでしょうね。
私が拒否しないって。
「豹牙さん」
呼ぶと、夜空色の瞳と目が合った。
「ありがとうございます」
私の様子に気づいてくださって。
あと、私に価値を見いだしてくださって──。
色んな感謝の意を込めた言葉というのに、豹牙さんは「これぐらいでお礼言ってどうする」と頬杖をついた。
「言っただろ。これは投資だ。その分お前には働いてもらうからな」
「えぇ、もちろん」
それが私の遠慮を取り除くための言葉ではないと分かっている。
きっと豹牙さんは明日からいつも以上に私をこき使うだろう。
上等だ。
貴方の役に立てるなら喜んでこの身を捧げようと意気込み、「いただきます」と手を合わせた。



