僕は、弟の学費を払うために恋愛リアリティーショーに出演することになりました

僕は、薄暗い自室の椅子に腰掛け、机の上に置かれた契約書を眺めていた。
署名欄だけが空白のまま、何度も見返したその紙切れは、彼にとって死刑宣告のようなものだった。

――ハア。今、俺は絶体絶命のピンチを迎えている。

そう心の中でつぶやいた瞬間、あの日のことを思い出す。



「風太、お前の契約の件なんだが、来月で打ち切られることになった。」

事務所の小さな応接室で、マネージャーの小林が淡々と告げた。

「え?どういうことですか?」

食い下がるように問いかけても、小林の表情は微動だにしない。

「どういうことって、そのままの意味だよ。」

「小林さん、待ってください。どうか考え直して頂けませんか。」

必死に縋る声は情けなく震えていた。

だが小林は深くため息を吐き、冷たく言い放つ。
「風太。お前をスカウトしてもう五年だ。いまだにエキストラの仕事しかないお前を、この大手事務所が置いておいてくれたことに、まずは感謝すべきだろ?……お前ももう二十二。普通に就職するなら今がラストチャンスだぞ。良かったじゃないか。」

「は、はい……」

言い返す言葉はなかった。
――あと一ヶ月で僕の俳優人生が終わる。
頭の中に、冷酷な鐘の音が響き渡った。