――なに、言うつもりだったんだ 杏が開いたドアをいっこうに出ようとしないから、開閉ボタンに指をあてて杏が出るのを待つ 「アリガト」 片言の杏に、ナニ人だよお前。って突っ込みそうになる 杏は時折、とても不自然な間合いをとる その距離感は、"あんたのことなんて一ミリも頭にない"っていうのと"どうだっていい"っていう友達以下の扱われ方をしているように思えて、 若干、へこむ どれだけつるんでたって、どれだけ仕事で共有することがあっても 他人は、他人。だと、そう言われている気がして。