先ほど逢沢さんの口から聞いた。都内の系列会社に来週から出向する話を……。
二次会に行くことが決まって移動した後も、彼女の席が遠いそれも邪魔者が一人増えてしまった。
俺は一生懸命、俺に付き纏ってくる二人を引き剥がそうと躍起になっていると、いつの間にか彼女が俺の前に立っていた。
「ちょっと外に出て話せませんか?」
少し震えている……唇を噛み締めて必死に彼女は俺にその言葉を伝えてきた。
「え~蒼佑さん、今曲入れたから二時間後にしてくれる~」
逢沢さんが横から茶々を入れてくる。
「あらあら、代わりに私がお話の相手をしましょう」
みると彼女の傍にこのお店のベテランで凄く話の分かる女性が逢沢さんの言葉を遮り俺を引っ張り上げて押しのけて逢沢さんともう一人の店員の女性の腕を脇に挟み込み、俺に片目を瞑って合図をしてくれた。
(ありがとう……)



