翠くんは今日もつれない【完】

つまり、翠くんはあたしのことを心配してくれていたってことか。

素直じゃないなぁ、と頬を緩ませながらサラッサラの黒髪を撫でると「うぜぇ、触んな。」と暴言と共に手を叩き落とされてしまった。酷い。


シャーっと警戒心を剥き出しにして威嚇する姿は、まさに懐かない猫って感じ。



「子供扱いしないでくれる?」翠くんはあたしに撫でられたことが相当嫌だったみたいで苦虫を噛み潰したような顔をして、そう言った。


子供扱いするなって、、



「16歳は立派な子供だよ」

「だとしても、あんたに子供扱いされるのはすげぇ腹立つからやめて。」



めっちゃ拒絶するじゃん。今の翠くんって本当に可愛げというものがないよね。



「……昔の翠くんはあたしに撫でられたらすっごく喜んでくれてたのに」



唇を尖らせて不満げにぽつり、呟く。翠くんも大きくなっているし昔と今じゃ違うんだって頭では分かってはいる。だけど、またあの時みたいに仲良くできたらな、なんて考えてしまうんだよね、あたしは。



「───ねぇ。」



不意に低い声が鼓膜に触れて「なぁに」と頭を持ち上げると、思ったよりもすぐ近くに翠くんの美麗な顔があってびっくりした。