自分を蔑んでいれば、隣に座る天使のような茉耶が無邪気に「そうだ!」と声を弾ませた。
長くて淡いブラウンが乗せられたまつ毛をぱちっと上向かせて、花が咲いたような明るい視線が向けられた。
「ね!栞はさ、最近矢野さんとどうなの?」
「あー……」
覗き込むようにきゅるんとしてわたしの次の言葉を待つ茉耶。
恋バナがわたしのターンになってしまってたじろぎかける。あまり得意ではないのだ、自分の話をするのは。
自分の話をしたくなるのはこれまでの人生、直しかいなかった。
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