低温を綴じて、なおさないで




前に呼ばれて会ったことはあるけれど、偶然顔を合わせることはなかった。


学生数約1万人、学部も学年もサークルもすべて違えば偶然出会うなんてこと滅多に起こりえない。



だからこそ、茉耶と直がたまたま同じ講義を取って近くの席で仲良くなって、なんてことも、本来ありえるはずのない奇跡。


……茉耶が運命だと信じたい気持ちだって、わからなくはない。




「今日は4限まで?」


「うん、午前も授業だったから今日はもうへとへと」


「そっか、頑張れ。俺は今からバイト」


「カフェのほう?」


「そー。今度来てね」


「うん、行きたいな」