低温を綴じて、なおさないで




𖤐ˎˊ˗





──直は小さい頃からずっとわたしが最優先で、いつもやさしかった。




「『しーちゃんと何か買ってきなよ』ってお母さんにお小遣いもらった」




小学生だったころのとある秋の終わりがけ。そのころのわたしは当然に髪を何色にも染めていなくて、真っ黒なショートボブだった。



昔から寒がりだったわたしは当時お気に入りの薄いピンク色のニットがあって、よれよれになるまで着ていたことを覚えている。



すきなものは、ずっとすきなところ、いまも変わらない。