学生証を入口にかざして本が溢れた空間に足を踏み入れる。
いくらペーパーレスだ電子化だのといってもやっぱり紙の本に勝てるものはないと思う。
印刷会社の倒産が増えている、というネット記事を見て寂しくなったりするくらいには思い入れがある。
紙の質感、カバーをめくった背表紙、ページの中に組み込まれた紙ならではのどんでん返し。たくさんのひとの思いが乗った紙の本がだいすきだとしみじみ感じながら、受付へと向かう。
大学には立派な図書館があるけれど、利用者であるはずの学生はあまり利用しないから、大学内でも静まり返った貴重な場所だ。受付の人員も削られていて、今はひとりだけ。
先に対応されているひとがいたので、何も考えずレジに並ぶ感覚で後ろに繋がった。



