低温を綴じて、なおさないで




とぼけるみたいにして、またひとつ、嘘をついた。



もうずっとロングで過ごしているのは、ショートではわたしが惨めになるからだ。直の彼女は昔から黒髪のショートボブばかり。



なのにわたしは彼女にはなれないから、もし直の彼女になるための条件があるのなら、自ら外れて強がれるようにした。




「栞はなんでも似合うよ」


「……褒めてもなんにも出ないよ」


「はは、本心だよ。坊主だって似合うよ、笑っちゃいそ」


「ばかにしないで」


「ごめんごめん」