「栞、最近ずっと髪長いね」 横から手が伸びてきて、一瞬だけわたしの髪に触れた。 触れ続けないのは、たとえ幼なじみであってもパーソナルスペースを侵さないようにしようとお互いに慎んでいるから。 それでもその一瞬に、わたしの胸はとくとくと静かに鼓動をはやめる。 「うん。短いの、中学が最後かなあ」 「理由あるの?」 「……長いほうが、似合うから?」