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あのときほど、あまくてにがくて、嫉妬と独占欲で滲んだ日をしらない。





「……大丈夫、だから。なかないで」




ひたすらにやさしくされて、甘やかされた日。


涙腺がこわれたみたいにどうにかなってしまそうで、そんなわたしを宥めるようにして熱にうかされた。



──あの日を、ときどき思い出す。

思い出せば苦い記憶とまっすぐ向き合えない気持ちと対峙しなければならなくなるから、すぐに綴じて仕舞い込むのだ。




それでもわたしたちは、ただの、────






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