だからたとえば、ばったり、ふと、偶然に、知り合いと出会うことなんてない。



……のに、今日は1年に1回もないような偶然が迷い込んできたみたいだ。



ばちっと、お互いに、ほかのだれも視界に入っていないと錯覚するほど、視線が繋がった。



目で見えるはずがないのに、わたしたちだけが見える糸と糸が結ばれたかのように一直線、合わさった。




「……直」




思わず溢れた声は、自分でも認識できないくらい小さくてすぐに日常のBGMに溶けた。


……たぶん、隣を歩く茉耶にも聞こえていない、はずだ。