𑁍𓏸𓈒




「矢野さん、どうだった?」


「どうもこうもないけど……次はいっしょに花火する」


「えー!ロマンチック!」




ゼミ終わり、入り組んだ大学内から脱出ゲームさながら出口へと向かう。


2階と6階しか隣の校舎への渡り廊下がないとか、扉付きの細い階段を使わないと地下1階には降りられないとか、迷路のようなつくりなのはうちの大学だけなのだろうか。



ちょうど4限が終わったこの時間はエレベーターとエスカレーターに学生が集中して、踊り場にはそれぞれの会話が声量勝負を挑んでいる。生半可な気持ちでは帰りの道へ辿り着けない。