「……りちゃん、栞ちゃん」
「……え、」
「全然返事しないからびっくりした、考え事?」
「わ、ごめんなさい。なんだった?」
「夏、やり残したことある?って聞いてみてた」
いつもの公園の近くを通ったから、つい直のことを考えてしまった。いけない、いま一緒にいるのは葉月くん。
あまりにも失礼だ、とわたしの思考にまとわる直を一旦追い出した。
「アイス食べたりとか?」
「はは、それはもう寒いね」
あんまりアイス、食べなかったな、とか思い返す。ぴゅうっとわたしたちの間を通っていく秋の風を肌で感じながら、確かにもう寒いなと相槌を咀嚼した。



