低温を綴じて、なおさないで





にしても、よく待ったな、と自分でも感心する。


それは葉月くんと会ってしまえば楽しい時間が担保されているとこれまでから確信があったからだ。次いつ会えるかわからないから、っていうのもあった。



それでも、初めて会ったときはお店の予約をしてくれていたし、2回目に会ったときは車を出して行き先のプランを立ててくれていた。



今回はざっくり「飲みに行こう」としか決めていなかったから当然かもしれないけれど、葉月くんが予約をしていなかったということははじめから遅れる可能性があったんじゃないかと余計なことを考えてしまった。




でも、違和感があっても、すべてのピースがかっちりハマるパズルみたいに上手くいくなんて思ってないから、これもカフェに置いて、捨てておいた。



今、葉月くんといて楽しい。今日リスケにならなくて良かったな、と考えるのは本心。


葉月くんと会っている理由はこれだけで十分だと、頭の片隅にずっと置いておいた。






「もうすっかり秋だね」


「そうだね。俺、夏が好きなんだけどなー」