低温を綴じて、なおさないで




開きっぱなしにしていた葉月くんとのトーク画面にもう一度目をやったら、さっきまで永久につかなかった“既読”の二文字がすでに表示されていた。




ぽん、と特有の通知音とともに、メッセージが表示されて瞳に映し込む。




『今もう駅? 20時半くらいに着けそう』




19:17を示す左手のスマートウォッチ。あと1時間と、ちょっと。




「わかった 近くのカフェにいるね」




ぎり、許容範囲だったから受け入れた。わかっているならはやく言ってほしかった。




葉月くんといると楽しい、時間がはやく過ぎる。


けれど、その楽しい時間をなしにしてもいいと思ったくらいには、いらいらしてもやもやして黒い感情で歪んでしまったから、やっぱりわたしは性格がわるくて、めんどうだ。






☁︎·̩͙